昨日のブログの続きです。
小学校にお子さんを入学させたばかりの、お母さんのたちの会話。
Bさんから、
「うちの子は、保育園で漢字を習ったわ。1年生で習う漢字80文字、もう全部書けるわよ。」
と聞き、焦りを感じているAさん。
「Aさんのお子さんは、学習で後れを取っているという訳ではない。」
というところまでが、前回のお話でした。
言語や文字を習得していく過程とは?
Aさんへ。
こんな話を聞かれたら、少しは安心なさるかもしれません。
人間は、生まれてから、どのような過程をたどって、言語や文字を習得していくのでしょうか。
順を追って、見ていきましょう。
生まれたばかりの赤ちゃんは、
「おぎゃあ、おぎゃあ。」と泣いて、自分の意志や、喜怒哀楽を表現します。
乳児期になると、
親や周囲の人の言葉に反応し、視線を送ったり、表情を変えたりします。
幼児期を迎えるころには、
耳にした言葉をおうむ返しに言ったり、物を指し示して単語を言ったりするようになります。
その後、文字に興味を示すようになり、
目にした文字と、認識した言葉とを対応させて、その文字を一つ一つ読むようになります。
ここまでの過程をまとめると、
「耳から言葉が入る」(インプット)
⇩
「聞いた言葉を、口にする」
(アウトプット)
⇩
「目から入る(文字を見る)」
(インプット)
⇩
「口にした言葉と、目で見た文字を
対応させる」 (アウトプット)
ということになります。
この後の過程は、次のようになります。
「対応した文字<ひらがな>の認識を
深める」 (インプット)
⇩
「対応した文字<ひらがな>を、手を
使って書く」 (アウトプット)
⇩
「対応した文字<ひらがな>の認識を
深める」 (インプット)
⇩
「対応した文字<ひらがな>を、手を
使って書く」 (アウトプット)
⇩
「対応した文字<カタカナ・漢字>の
認識を深める」 (インプット)
⇩
「対応した文字<カタカナ・漢字>を、
手を使って書く」 (アウトプット)
つまり、人間は、
インプット ⇦⇨ アウトプット
を交互に繰り返しながら、順を追って言語や文字を習得していく、
ということが分かります。
人間は、成長・発達していく過程で、このようにして言葉や文字を認識し、習得していくのです。
とても、理にかなっていますね。
子供の成長には、流れがある
先程のお母さんたちの会話に戻ります。
Bさんのお子さんが通っていた保育園の教育方針が悪いという訳では、全くありません。
私が言いたいのは、
Aさんが、Bさんに対して、
「不安」や「心配」、「恐怖」
「ダメになる、という意識」
を抱かなくてもいい、ということなのです。
成長・発達段階の流れをちゃんと踏んでいけば、
理にかなった方法で、漢字も習得することができるようになってくることでしょう。
むしろ、お母さんが焦るばかりに、
「○○を、しなければならない。」
「□□をしないと、ダメになる。」
と思い込んで、お子さんを焦らせることこそが、
一害あって 一利なし
ということになってしまうのです。
『横並び一直線』でなくてもいい
『隣の誰かさん』に合わせた生き方をしなくてもいい
今年の入学式の風景に接し、
ふと、こんなことを思ったのでした。
投稿者プロフィール

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<すえひろ・やすみつ>
現役の公立小学校教師。神奈川県生まれ。これまで2,000人以上を直接指導。
40歳代後半、家庭では自身の子どもの不登校を経験し、仕事では「うつ」を発症。職場復帰後、大塚あやこ氏が提唱する「ビリーフリセット心理学®」と出会い、関心のあった「心のしくみ」についての学びを深める。
現在、小学校勤務と並行して、『心理の視点を取り入れて<問題>を俯瞰し、見つめ直してみる』という手法を教育・家庭・仕事に生かすべく、現場での実践や学習会・講演会などを行っている。
・ビリーフリセット®シニアアドバイザー
・企業研修ファシリテーター
(一般社団法人ビリーフリセット®協会 認定)
詳しいプロフィールはこちら。
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