『最長片道切符の旅』8日目は、
羽越本線・米坂線・奥羽本線の3線。
比較的乗車区間の長い線区ですが、
著者の乗車時とは様相は大きく異なってきています。
<奥羽本線>
・普通列車の客車運用はなくなり、電気式気動車のGV-E400系に置き換え(画像参照)
<米坂線>
・2022年8月の大雨による被害のため、今泉(一部、米沢)―坂町間でバス代行輸送中
<奥羽本線>
・福島―新庄間は山形新幹線として運行
(新幹線と同じ線路幅となり、在来線である新庄以北との直通運転はできない)
・大雨災害の復旧工事の際、新庄―院内間は架線を外され非電化となる
昭和53年といえば、山陽新幹線が博多まで開業して3年目。
東北新幹線も上越新幹線もまだ工事中で、
全国各地で特急列車が大活躍。
「ゴー・サン・トウ」と呼ばれる大きなダイヤ改正があった年でした。
若い読者にしてみれば、
『最長片道切符の旅』はもう歴史的名著になってしまっているのではないか?
そんな、いらぬお節介に思いを致している自分を脇にちょいと置いて、
今日も読み進めていきます。
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このブログ記事は、
著者が旅した日と同じ日に一章ずつ読み進め、
感じたことや気づいたことをまとめていく企画です。
それでは、最長片道切符の終着:
鹿児島県枕崎駅に向けて「出発進行!!」。
『最長片道切符の旅』(宮脇俊三 著)の簡単な説明は、こちらから。
【第8日】(昭和53年10月29日)
秋田―鶴岡―坂町(さかまち)―米沢―横手

<羽越本線 普通列車 (2021年)>
秋田から羽越本線を南下していくと、
右の車窓には日本海、左の車窓には鳥海山を望む区間に出ます。
秋田県の南端、象潟(きさかた)付近です。
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ここは芭蕉が「松島は笑ふがごとく、象潟はうらむがごとし」と書いた一六八九年には九十九島八十八潟と言われる景勝の地であった。蚶満寺(かんまんじ)の「蚶」の訓(よ)みはキサで、キサはアカガイの一種である。そのキサがたくさん獲(と)れたのでキサ潟と呼ばれ蚶満寺があるわけだが、一八〇四年の大地震で隆起し、陸地になった。隣の金浦町(このうらまち)にのこる年代記によれば、大木の枝が箒(ほうき)のように地を掃き、鐘楼の撞木(しゅもく)が揺れて早鐘を打ちつづけ、死者は三三三人であった。いまでも水田のあちこちに松の生えた小丘が点在し、水田を海に見立てれば松島に似てくる。
(新潮文庫版 P.121より抜粋)
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本文の引用がいささか長くなってしましたが、
著者は地理に加えて歴史についても博学な方で、
このような記述を車窓風景描写の中にちりばめています。
以前の投稿で、「私の鉄道旅行のバイブル」と紹介しましたが、
簡素にして克明な内容(案内と言ってもいい)に触れることで、
自分もこの線区に乗車してみたい!!
この景色を車窓から見てみたい!!
という気持ちにさせてくれるのが本書の魅力なのです。
それでは、私も著者にあやかって、
三度目の羽越本線乗車で訪れた歴史的建造物をご紹介します。
(画像のみで、ごめんなさい。)

<修復作業直前の羽黒山五重塔 (2021年)>
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山形着16時49分。乗客の半数が下車した。特急「つばさ3号」は日の暮れた山形盆地を北へ北へと走り、陸羽東線、陸羽西線の分岐駅新庄(しんじょう)からまた登りとなる。
車内販売員が酒類だけをワゴンに積んでやってきた。私の斜めうしろで、
「ぼくに水割り頂戴(ちょうだい)!」
と呼びとめる元気な声がする。声が妙に高いので振返って見ると、女の子である。どうも特急列車の客には変なのがいる。
(新潮文庫版 P.127~128より抜粋)
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私が初めて車内販売を利用したのが、小田急ロマンスカー。
当時は「走る喫茶室」と呼ばれていて、
専属の販売員さんが、車端部にある喫茶カウンターからシートサービスしてくれました。
手入れの温かい紅茶と適温に冷やされたロールケーキ。
町中の喫茶店と比べるとちょっと割高ではあったけれど、
ものすごく裕福な時間を過ごせた思い出があります。
以来、車内販売に出会うと最大限利用するようにしていたのですが、
今や定期運行しているJR特急列車の食堂車は全廃。
利用者の誰もが気軽に利用できる車内販売に出会うことも、
一部を除いてほとんどなくなりました。
これも時代の波、と一言ではくくれない思いはあります。
移りゆく車窓を眺めながら、地域の食材を生かした料理を味わう。
列車内での飲食の楽しみを生かした豪華観光列車が、各地域で展開されています。
このようなコンセプトは、これからも生かし続けてほしいと願っています。
〔第8日目の味読(乗車)は、ここまで。〕
投稿者プロフィール

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<すえひろ・やすみつ>
現役の公立小学校教師。神奈川県生まれ。これまで2,000人以上を直接指導。
40歳代後半、家庭では自身の子どもの不登校を経験し、仕事では「うつ」を発症。職場復帰後、大塚あやこ氏が提唱する「ビリーフリセット心理学®」と出会い、関心のあった「心のしくみ」についての学びを深める。
現在、小学校勤務と並行して、『心理の視点を取り入れて<問題>を俯瞰し、見つめ直してみる』という手法を教育・家庭・仕事に生かすべく、現場での実践や学習会・講演会などを行っている。
・ビリーフリセット®シニアアドバイザー
・企業研修ファシリテーター
(一般社団法人ビリーフリセット®協会 認定)
詳しいプロフィールはこちら。
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