『最長片道切符の旅』を、旅行日と同じ日に読んで思いに耽る ー第10日(10月31日)ー

今日は、山頂付近に雪を頂いた富士山を望むことができました。初冠雪です。
旅行するにはもってこいの気候になりました。
『最長片道切符の旅』第10日も今日と同様、良い天気に恵まれていたようです。

さて、神奈川県民の私の旅行先。
北関東・東北などの北方面に比べると、
中部・関西などの西方面が多い傾向にあります。
これは、寒さ(特に雪)が苦手なことに加え、
一旦東京駅まで出なければその先に進めない、
(逆に言うと、帰宅時、東京駅からまだ先が残っている…)
という心理的なバリアーがあるようです。

自分で勝手にそう思い込んでいる節もあるので、
それはいったん脇に置いておき、
東北地方の旅行記を、紙上で楽しんでいきます。

・・・・・・・・・・

このブログ記事は、
著者が旅した日と同じ日に一章ずつ読み進め、
感じたことや気づいたことをまとめていく企画です。
それでは、最長片道切符の終着:
鹿児島県枕崎駅に向けて「出発進行!!」。

『最長片道切符の旅』(宮脇俊三 著)の簡単な説明は、こちらから。

【第10日】(昭和53年10月31日)
気仙沼(けせんぬま)―前谷地(まえやち)―石巻(いしのまき)―仙台―郡山(こおりやま)―平(たいら)―水戸

C60 SL

<C60形蒸気機関車 (2021年 仙台市にて)>

著者はただひたすら、修行僧のように鉄道に乗り続けているわけではありません。
時には当日の出発前、
またある時には、接続・乗り継ぎ時間待ちなどを有効活用して、
その土地ならではの旅を楽しんでいます。

気仙沼での出来事です。

―・―・―・―・―・―・―・―

 魚市場の競(せ)りは午前五時から始まるという。
六時にタクシーを呼んでもらい、魚市場を見に行きたいと言うと、運転手は喜んで、「きょうは瑞宝丸が帰ってきてる」と言う。この運転手はその船の乗組員だったのだそうだ。
  <中略>
 私が感心していると、
「船長知ってるから一本買ってか」
 と運転手は本気で言った。

(新潮文庫版 P.138より抜粋)

―・―・―・―・―・―・―・―

運転手さんの会話が自動的に脳内変換して、
東北地方のアクセントとして聞こえてしまうのは、私だけでしょうか。

ほぼ2ページにわたって書かれている魚市場でのエピソード。
車窓風景同様、目の前にその情景がありありと浮かんでくるような描写力。
「座布団、一枚あげて!!」
思わず声を掛けそうになってしまいました。

今回乗車している、気仙沼―前谷地間の気仙沼線。
2011年の東日本大震災で、津波による大被害を受けました。
震災後、地元の方々が「鉄道による復興」を強く願われていましたが、
鉄道としての復帰ではなくBRT(バス高速輸送システム)として再出発しています。
〔前谷地―柳津間は、鉄道とBRTが並行して運行〕

著者は、昭和52年12月の全線開通日当日に乗車しています。
開通に至るまでの歴史的変遷や地元の思いなどが、
本文P.140~142に詳しく書かれています。
今あらためて読み返すと、
「鉄道の使命とは何か?」を考えさせられる部分もあり、
ローカル線について考察する上で貴重な資料のように思えてきます。

東北本線は当時、日本有数の特急・急行列車街道。
これら優等列車に鉄路を譲るため、普通列車は途中駅で長時間停車します。

―・―・―・―・―・―・―・―

 ようやく発車して、東北らしい青い山なみの安達太良山(あだたらやま)が右窓に近づき、二本松に着く。秋の空が気が遠くなるように青く高い。宇宙が見えるような空だ。
「阿多多羅山の山の上に 毎日出てゐる青い空が 智恵子のほんとの空だといふ」
 と高村光太郎の詠(よ)んだ空がこれなのだろう。

(新潮文庫版 P.145~146より抜粋)

―・―・―・―・―・―・―・―

今朝、私が見た富士山の上空に広がる澄んだ青空。
これはこれで素晴らしかったと思うのですが、
それよりも、もっともっと青く高い空が見えたのでしょう。
ここを読むと、胸にじんと来るものを感じます。

郡山駅で乗り換えた、磐越東線の車窓風景です。

―・―・―・―・―・―・―・―

 沿線の神社は一斉に秋祭りをやっているらしく、どの社の杜(もり)にも白い幟(のぼり)が立っている。その白と柿(かき)の実の対照がおもしろい。このあたりに限らず、柿は驚くほどたくさんの実をつけるものだと、あらためて思う。遠くからは紅葉のように見えるのさえある。

(新潮文庫版 P.146より抜粋)

―・―・―・―・―・―・―・―

ここで初めて、「柿」に関する記述が登場します。
ここで敢えて紹介するのはなぜか?
その理由は、折に触れてお伝えしていきたいと思います。

この日の『最長片道切符の旅』は、水戸駅で終了。
いよいよ関東に入りました。

特急「ひたち」

<特急「ひたち」 (2021年 仙台駅にて)>

〔第10日目の味読(乗車)は、ここまで。〕

投稿者プロフィール

末広 康三
末広 康三
 <すえひろ・やすみつ>
 現役の公立小学校教師。神奈川県生まれ。これまで2,000人以上を直接指導。
 40歳代後半、家庭では自身の子どもの不登校を経験し、仕事では「うつ」を発症。職場復帰後、大塚あやこ氏が提唱する「ビリーフリセット心理学®」と出会い、関心のあった「心のしくみ」についての学びを深める。
 現在、小学校勤務と並行して、『心理の視点を取り入れて<問題>を俯瞰し、見つめ直してみる』という手法を教育・家庭・仕事に生かすべく、現場での実践や学習会・講演会などを行っている。
 ・ビリーフリセット®シニアアドバイザー
 ・企業研修ファシリテーター
  (一般社団法人ビリーフリセット®協会 認定)

詳しいプロフィールはこちら。
PAGE TOP