お子さんと向き合う際に、
ぜひ気をつけていただきたいことがあります。
それは、
『何で?』という言葉を使わない
ということです。
・えっ?そうなの??
・当たり前のように使ってきたけれど・・・
などと、思った方もいらっしゃるかもしれません。
前回のブログ記事でも少し触れましたが、
今回は、その意味について掘り下げていきます。
自分は、責められている!!
お子さんのことで何かトラブルがあり、
そのことについて話を聞いているとします。
・何で、できないの?
・何で、分からないの?
・何で、こんなことをしたの?
・何で、私がやらなきゃいけないの?
このようなフレーズを多用していたことはありませんでしたか。
自分が相手に対して
「何で?」という言葉を発している時は、
解決に向けて、原因や理由を尋ねているように見えます。
でも、子どもの側からすれば、
「自分は、責められている!!」
という感じを強く抱いてしまう言葉でもあるのです。
なぜ、このようなことになってしまうのでしょうか?
ご自分とお子さんとの立場を入れ替えて、
シミュレーションしてみましょう。
「何で、〇〇なの?」と人に言われた時、
あなたはどんな心の状態になるでしょうか。
あるいは、体の感じはどのようになっているでしょうか。
〔心の状態〕
・怒られる!!
・そんなこと訊くなよ!!
・ムカッとする
〔体の感じ〕
・ゾワゾワ、ドキドキ
・頭がカッと熱くなる
・全身がこわばる
いかがでしょうか。
このように見てみると、
お子さんは、
あなたが感じていることと
全く同じ心の状態になっているのです。
攻撃は最大の防御!?
『攻撃は最大の防御』
という言葉があります。
自分の弱い部分に攻め込まれないよう
相手を攻撃し続けることが、
実は防御につながっている、という意味です。
これを自分自身のことに置き換えてみると、
・自分の弱い所を見なくて済む
・見せてはいけないことを押し隠し通せる
・別の自分を演じることができる
などのメリットがあります。
その一方で、
・攻撃し続ければならず、エネルギーを浪費する
・自分が隠した部分はそのままで、何ら改善されない
というデメリットもあります。
トータルに見て、
デメリットよりもメリットの方が大きな効果をもたらすので、
倒れるまで「終わりなき攻撃」を続け、
自分を頑なに守ろうとします。
それでは、ここで、
「何で?」を発している時の、
自分の内面を深掘りしてみましょう。
<ケース1>
私は、ずっと我慢してきた。
嫌だったけど、親の言う通りにやってきた。
なのに、あなたは
何で、こんなことをしたの?
ずっと我慢し続けてきた、私の身になってちょうだい!
こんなわがまま、許せないわ!!
<ケース2>
私は毎日、仕事や家事をずっと頑張ってやってきた。
でも、誰も私の苦労を分かってはくれていない。
それなのに、
何で、私がやらなきゃいけないの?
みんな、「お母さんがやるのは当たり前」と思い込んでいる!
もう手一杯でどうにもならないお母さんの気持ち、分かってよ!!
斜字で記した部分が、
あなた自身が隠し、目をそらせてきた「本音」です。
でもそれを、ずっとずっと、
心の奥底に押し隠してきた。
それは、「感情のマグマ溜まり」のごとく、
熱く、ドロドロと、
ご自身の内面でうごめいています。
でも、ふとしたきっかけで噴出してきた部分が、
「何で、〇〇なの?」
という言葉になって表れてきます。
「何で?」という言葉の奥底には、
マグマ溜まりに溜め込んでいる
その人自身の
『怒り・落胆・悲しみ』
が多分に含まれています。
自分の内部では、
もう心の状態が沸点に達している。
でも、本人の無意識のうちに、
オートマチックに起きているその心の部分は、
相手には全く見えていない…。
このような状態で、いきなり
「何で、〇〇なの!?」
と来るから、相手は、
『自分が責められた!!』
と受け取ってしまいます。
しかも、
その前後にあるその人の「本音」の部分は、
マグマ溜まりに引っ込んでしまっています。
言われた方としては、
何が何だかサッパリ分かりません。
罪悪感ばかりが強く残ってしまいます。
そうなったら、言われた側としては、
自分を守るために、口を閉ざしたり、
反発したりせざるを得ません。
せっかくの話し合いが、
これでは台無しになってしまいます。
というわけで、
『何で?』という言葉を使わない
ことの意味について、
「心の仕組み」
という観点から考察してみました。
光を当てて、自分の内面を見つめ直す
「何で、〇〇なの?」
という言葉を口にしそうになったら、
一度立ち止まってみましょう。
そして、一呼吸おいて、
「自分の中に、押し隠している部分があるのだな」
と、感じ取ってください。
「そんな自分がいるんだなあ」
と、自分を俯瞰してみましょう。
もし、うまくいかなくても大丈夫。
「お母さん(お父さん)、あなたの気持ちがよく分からないの。」
「だから、あなたの気持ち、正直に教えてね。」
と、善悪・白黒をつけずに、
ノージャッジで聞いてみましょう。
お子さんは、あなたの「激変ぶり」に
最初は戸惑うかもしれません。
こうしたやり取りを何度か繰り返すうちに、
お子さん自身が
「自分の気持ちを話しても、大丈夫かな」
と、心のバリアーを低くしてくるのではないでしょうか。
「あの時は、強く言い過ぎた。ごめんなさい。」
ここから、本当の話し合いが始まります。
『リセット・仕切り直し』するには
絶好のチャンスである、この春休み。
7回にわたって
「子どもとの向き合い方」のヒント
をお伝えしています。
〔プロローグ〕
春休みは、『子どもとの向き合い方』を見つめ直す絶好のチャンス!!
〔第1回〕
子どもとの向き合い方を変えたければ、大人が『自分と向き合うこと』をしてみる
〔前回〕
子どもがとったその行動 ⇒『理由・背景』に目を向けてみる
〔次回〕
焦りは禁物! 「I(アイ)・メッセージ」で自分の気持ちを伝える
〔第5回〕
『子どもの存在を認める言葉掛け』で安心感を高める
〔第6回〕
子どものやる気を引き出す魔法の言葉は、『惜しい!!』
〔第7回〕
大人が変われば、子どもも変わる
これらのブログ記事が、
少しでも、皆さまのお力になれましたら幸いです。
投稿者プロフィール

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<すえひろ・やすみつ>
現役の公立小学校教師。神奈川県生まれ。これまで2,000人以上を直接指導。
40歳代後半、家庭では自身の子どもの不登校を経験し、仕事では「うつ」を発症。職場復帰後、大塚あやこ氏が提唱する「ビリーフリセット心理学®」と出会い、関心のあった「心のしくみ」についての学びを深める。
現在、小学校勤務と並行して、『心理の視点を取り入れて<問題>を俯瞰し、見つめ直してみる』という手法を教育・家庭・仕事に生かすべく、現場での実践や学習会・講演会などを行っている。
・ビリーフリセット®シニアアドバイザー
・企業研修ファシリテーター
(一般社団法人ビリーフリセット®協会 認定)
詳しいプロフィールはこちら。
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