鉄道が好きであちこちに出かけているのなら、
JR(旧国鉄)がない沖縄県以外の都道府県の線区をくまなく乗車しているのでは?
と思われがちなのですが、
実は私がまだ踏み入れていない地域がいくつかあり、
「三陸」はその一つになります。
当然のことながら、
三陸につながる山田線、釜石線、大船渡線は未乗線区です。
加えて、
・秋田から昼間の秋田新幹線「つばさ」に乗ったけれど、爆睡して田沢湖線の記憶は一切ない
・東北本線は、往年の名急行「八甲田」で夜中に通過し、気づいたら青森県の浅虫海岸が見えた
という「不運な過去」があり、
今回著者が乗車している区間の昼間の様子は、
私にはまったくの未知の世界なのです…。
というわけで、
いつか乗車できる日に思いを馳せながら、
この章の車窓風景の描写を楽しんでいきます。
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このブログ記事は、
著者が旅した日と同じ日に一章ずつ読み進め、
感じたことや気づいたことをまとめていく企画です。
それでは、最長片道切符の終着:
鹿児島県枕崎駅に向けて「出発進行!!」。
『最長片道切符の旅』(宮脇俊三 著)の簡単な説明は、こちらから。
【第9日】(昭和53年10月30日)
横手―大曲(おおまがり)―盛岡―宮古(みやこ)―花巻―一ノ関―気仙沼(けせんぬま)

<車窓からの一ノ関付近の風景 (2018年夏)>
『最長片道切符の旅』のルートは、
秋田から日本海側を南下、米沢から奥羽山脈に沿いながら北上、
そして盛岡から太平洋側へ東西の移動を1往復半と、
東北北部を目まぐるしく移動しています。
それに合わせて紅葉の様子にも変化が見られ、
そこを拾い出して読み進めていく面白さがあります。
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四〇分ぐらい無人の北上山地を登ると、あたりはなだらかな高原となり、区界(くざかい)を通過する。白樺(しらかば)の林が多く、葉が落ちているので遠くから見ると白い縦縞(たてじま)になっている。
区界から下りになり、閉伊川(へいがわ)に沿って行く。この川は宮古で太平洋に注ぐ。両岸の紅葉がきれいだ。トンネルが多いので、暗闇(くらやみ)から出るたびにぱっと紅や黄に包まれ、それをくりかえすから、めまぐるしい。駅があるとわずかに家が現れるが、過疎(かそ)地域なので廃屋となった分教場があったりする。
<中略>
宮古―釜石間は典型的なリアス式海岸で、本州最東端の魹(とど)ヶ崎(さき)をはじめ豪快な断崖(だんがい)のある岬が多いが、深く入り込んだ湾内は静かで、帆立貝の養殖がおこなわれ、入江の奥には漁港とわずかな耕地がある。列車は岬の根元を越え入江をかすめるので、登って下ると入江の駅、という型をくりかえす。
(新潮文庫版 P.132~134より抜粋)
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この当時の山田線は、盛岡―宮古―釜石を結んでいましたが、
2011年の東日本大震災を経て、宮古―釜石間を三陸鉄道に移管。
同区間は三陸鉄道・リアス線として含まれ、
岩手県南部の盛と北部の久慈を結ぶ、全長136キロの線区に再編されました。

<東北新幹線「はやぶさ・こまち」(2018年)>
現在、この地域の鉄道においては、
東北新幹線を軸とした交通網が整備されていますが、
その東北新幹線の開業は昭和57年(1982年)6月。
『最長片道切符の旅』の3年半後となります。
それまでは、昼夜を問わず、数多くの特急・急行列車が東北本線を疾走していました。
東北新幹線が必要とされた理由の一つが、
この記述に垣間見られるような気がします。
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花巻からは14時26分発の鈍行で一ノ関へ行き、16時28分発の大船渡(おおふなと)線で気仙沼着18時22分を予定している。ところが嬉(うれ)しいことに、7分前に発車したはずの14時09分発上り特急「はつかり8号」がまもなく入線してくる、という放送が聞えるではないか。
北上川流域は地盤が軟弱で徐行区間が多い。だから制限速度いっぱいの高速ダイヤで走らされる東北本線の特急は、わずかな遅れでもなかなか取返せない。一〇分ぐらいの遅延は日常になっている。それで、もしかしたらと期待していたのだが、そのとおりになった。私はひとりで莞爾(かんじ)とし、遅れの「はつかり8号」に乗りこんだ。なぜ私が喜ぶかというと、この特急のお蔭(かげ)で一ノ関からの大船渡線は一列車前の15時08分発に間に合い、気仙沼には明るいうちに着けるからである。特急券を買わねばならないし、一時間半早く着いても大したことではないが、私はしばしば列車遅延の被害を受けているので、たまにはこういうことがあると嬉しいのである。
(新潮文庫版 P.135より抜粋)
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今や、1分の遅れでも、
「列車が遅れましたこと、お詫びいたします。」
との車内アナウンスがされる時代。
乗り換え接続等の関係もあり、遅れが出ると困ることがあるからでしょう。
「列車が遅れると困るけど、ラッキーになることもある」
逆もまた真なり、との心境でスリル感を味わいながら、
著者は鉄道旅行を楽しんでいたのかもしれません。
〔第9日目の味読(乗車)は、ここまで。〕
投稿者プロフィール

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<すえひろ・やすみつ>
現役の公立小学校教師。神奈川県生まれ。これまで2,000人以上を直接指導。
40歳代後半、家庭では自身の子どもの不登校を経験し、仕事では「うつ」を発症。職場復帰後、大塚あやこ氏が提唱する「ビリーフリセット心理学®」と出会い、関心のあった「心のしくみ」についての学びを深める。
現在、小学校勤務と並行して、『心理の視点を取り入れて<問題>を俯瞰し、見つめ直してみる』という手法を教育・家庭・仕事に生かすべく、現場での実践や学習会・講演会などを行っている。
・ビリーフリセット®シニアアドバイザー
・企業研修ファシリテーター
(一般社団法人ビリーフリセット®協会 認定)
詳しいプロフィールはこちら。
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