『リセット・仕切り直し』するには
絶好のチャンスであった春休み。
その春休みを経て新学期を迎えたこの時期、
新しい視点をもって
「お子さんとの向き合い方」を
見つめ直してみませんか?
これまでの私の経験を生かしていただきたく、
7回にわたって
「子どもとの向き合い方」のヒント
をお伝えしています。
今回、第5回目のテーマは、
『子どもの存在を認める言葉掛け』で安心感を高める
です。
自分がしてもらって嬉しいことは、相手も嬉しいこと
『自分がしてもらうと嬉しいこと』
って、どんなことでしょう。
答えはそれぞれにあると思いますが、
『自分の存在を認めてもらえること』
が、一番多いのではないでしょうか。
自分がしてもらって嬉しいことは、
「相手も嬉しい」と思ってもらえることが多いです。
このことから考えると、
「私は、あなたの存在を認めています。」
という態度や言葉掛けで示していくと、
私自身のその思いを、
目の前のお子さんに伝えていくことができます。
では、どうしたらその思いを
目に見える形で伝えることができるのか。
それは、
「野球のキャッチボール」
をイメージすると、より明確になってきます。
相手からのボールを、
こちらがしっかりとキャッチする。
そのボールを、
相手の胸元めがけて投げ返す。
胸元にコントロールを定めるのは、
相手にボールをしっかりキャッチしてもらうためです。
何度か投げ合っているうちに、
互いのやり取りが整ってきます。
適当に投げ返していたら、
その時点でキャッチボールは成立しなくなってしまいます。
言葉のキャッチボールで『安心感』を培う
ではここで、投げたボールを
「言葉」に置き換えて考えていきましょう。
相手が投げてきた言葉をきちんと
キャッチして、相手に投げ返す。
・「○○があったんだよ…。」
⇒『あったんだね。』
・「□□だから、嫌だったんだよ…。」
⇒『嫌だったんだね。』
こうしてやり取りを続けていくうちに、
相手は自分の心を開いて、
少しずつ話をしてくれるようになってきます。
ポイントは、
・相手の言葉を、受け止めること
・受け止めた言葉の文末を、そのまま丁寧に返すこと
これを焦らずに続けていくことです。
相手が投げてきた言葉を、
そのまま受け止めて投げ返す。
感情や肯定・否定が文章の最後に表現されるのが、
日本語の特徴です。
ここを受け手がしっかりととらえると、
相手は『受け止めてもらえた』と感じ、
『安心する』のです。
この『安心感』こそが、
『相手の存在を認める』ことにつながります。
受け入れるのではなく、『受け止める』
「言葉のキャッチボール」をする目的を、
もう一度確認してみましょう。
「私は、あなたの存在を認めています。」
という態度や言葉掛けを通して、
お子さんの自己開示をサポートしていくものでしたね。
話を聞く途中で、
「そんな自分勝手な言い分は受け入れられない!!」
「間違っているのは、お前の方だ!!」
などと、
ついジャッジしてしまいそうな、
そんな思いに駆られることもあることでしょう。
ここで大切なのは、
相手の言葉を『受け止める』
ことであって、
「受け入れる」ことではありません。
ちょっと俯瞰した位置から、
冷静になって、
お子さんの言葉を『受け止める』のです。
言葉をそのまま自分の中に「受け入れる」と、
自分の中の思考が直ちに反応し、
善悪・白黒・可否の判断を下して、
即座に強い言葉や態度としてアウトプットしてしまします。
これでは、お子さんは自分を守るため、
無反応・拒絶・暴言などを駆使して、防御態勢を取らざるを得ません。
せっかくの話し合いの場が、修羅場と化してしまいます。
自分が感情的になりそうだ、と感じたら、
一呼吸おいて、
「そうなんだね。」
と、お子さんの顔を見ながら伝えましょう。
相手のボール(言葉)を受け止めては投げ返す。
大人の役割は、
・どんなボール(言葉)でも拾いに行く
・相手にそのままボール(言葉)を投げ返す
ことの繰り返しです。
根気強く続けていくと、お子さんの内面に、
「受け止めてもらえている」という
『安心感』
が湧いてきます。
すると、少しずつ、
自分の中に閉じ込めていた思いを
表に出してくるようになります。
「この人なら話してもいい」
と思えるようになってくれば、
お子さんも、
相手の言い分を受け止める心持ちが整ってきます。
その土台を作った上で、
今後の対処方法を考えていく展開に
つなげていただきたいと思います。
ご自分の子どもの頃を思い出し、
「こんな風に対応して欲しかったな」
と思うことを、
目の前にいるお子さんにしてあげてください。
たとえ、今回はうまくいかなかったとしても大丈夫。
繰り返し、少しずつやっていくことで、
お子さんとの向き合い方に、改善をもたらすことでしょう。
7回にわたって
「子どもとの向き合い方」のヒント
をお伝えしています。
〔第1回〕
子どもとの向き合い方を変えたければ、大人が『自分と向き合うこと』をしてみる
〔第2回〕
子どもがとったその行動 ⇒『理由・背景』に目を向けてみる
〔第3回〕
『何で?』は、相手の心を閉ざすNGワード
〔第4回〕
焦りは禁物! 「I(アイ)・メッセージ」で自分の気持ちを伝える
〔次回〕
子どものやる気を引き出す魔法の言葉は、『惜しい!!』
〔第7回〕
大人が変われば、子どもも変わる
これらのブログ記事が、
少しでも、皆さまのお力になれましたら幸いです。
投稿者プロフィール

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<すえひろ・やすみつ>
現役の公立小学校教師。神奈川県生まれ。これまで2,000人以上を直接指導。
40歳代後半、家庭では自身の子どもの不登校を経験し、仕事では「うつ」を発症。職場復帰後、大塚あやこ氏が提唱する「ビリーフリセット心理学®」と出会い、関心のあった「心のしくみ」についての学びを深める。
現在、小学校勤務と並行して、『心理の視点を取り入れて<問題>を俯瞰し、見つめ直してみる』という手法を教育・家庭・仕事に生かすべく、現場での実践や学習会・講演会などを行っている。
・ビリーフリセット®シニアアドバイザー
・企業研修ファシリテーター
(一般社団法人ビリーフリセット®協会 認定)
詳しいプロフィールはこちら。
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